2009年02月06日
むらかみ
先週、うまいそばが食いたくなり板柳の「むらかみ」に立ち寄る。
鴨つけをすすり、お勘定を済ませているとご主人が厨房から出てきて、
「いいのがあるよ♪」とニカッ、と笑う。
そーか、あるのか、ならば食わずばなるまい。
ということで、木曜日に知人を誘い「いいの♪」を食しに行く。
おなかがすいている方は、ここで読むのをやめてください。
カラダに毒です(笑)。
まずは、ブリコ、山菜のすし、ばっけ(ふきのとう)みそで「義侠」をかるく流し込み、舌を潤す。
岩魚の塩焼きなんぞも強火の遠火でしっかりと焼き、くさいアブラを落としてある。
元の大きさの3分の2になるまで、2時間くらいは焼きからしているであろう。
そして天然の山菜を使った「けの汁」、だしは焼干だという。
熱々をふぅふぅといただく。
あつくほてった舌に冷酒をぐい、と流し込む・・・うまい。
とか何とかしているうちに「いいの♪」の第一弾が来た。
天然鴨の胸肉のロースト。
そばつゆに使う「返し」をアレンジしタレで、クレソンと焼きねぎを添えて。
どれどれ・・・(←もうこの時点で世の中のことなんぞどーでもよくなっている)。
胸肉でクレソンとねぎを巻いて、パクリ。
3ミリ厚位の肉からすごい量の肉汁があふれ出す。
気が遠くなる、ううむ・・・。
さらには、そば粉を薄めのパンケーキ状に焼いたあつあつものにこれを挟み、
ネギ味噌をちょいとのせてはふはふと。
わはははははは・・・。
イカン、第一弾でこの体たらくでは第2弾に立ち向かうことができぬではないか。
気をしっかり持て、@Kurosaki!
しかし、「義侠」の純米酒(特A山田錦、精米歩合50%)も鴨のうまさに負けていない。
山田錦の香りが一つまみほんのりと漂う。
なめらかなのみ口なのだが、「りん」としたコシの強さも感じられるすばらしい酒である。
そして、第2弾。
もつの串焼き、もも肉、手羽元のロースト。
同じく「返し」のタレで。
さて・・・、
もも肉にかぶりつく。
肉に歯を立てたとたん皮がぱりりと音をたて、次の瞬間口の中が肉汁の洪水と化す。
きめ細かなアブラが溶け出し、その甘みが天然もののみが持つ「野趣」と溶け合い噛み締めるたびにすさまじいばかりのうまみがぴゅるぴゅると出てくる。
むぅ・・・・。(←気をしっかり持つのだ!!)
言葉は出ず、目は潤み、頬は上気する。
後はひたすら肉を貪り食う餓鬼と化するのである。
我にかえったときは、きれいにしゃぶりつくされた骨が、残骸となって皿に横たわっていた。
毎年ここで「鴨」を食べているのだが、今までのものとレベルが違う。
後でご主人に伺った話によると、頭を撃たれ即死状態だったとのこと。
そうか、それで合点がいった。
獣も魚も苦しんで死ぬと「血」が回って味が落ちるのである。
貴重なものをいただいた。
ふぅ、ごちそうさまでした。
・・・いや、まだ、である。
絶品のそばが、〆で待っているのである。
打ちたてのそば。
きりりと角が立ち、箸でつまんだだけでコシの強さが伝わってくる。
端っこをちょん、とつゆにつけズッとすすりこむ。
そばの香りが口の中(そう、「口の中に」である)に充満する。
かみ締めると甘みが広がり飲み込んだ後、鼻から息を出すとさらにそばの香り。
「そば」とは香りを食うものであるということを教えてくれる。
酒も飲まずに親の敵をとるかのような勢いで一気に食らう。
そして、ぐい飲みに満たされた酒をグイ、と飲み干す。
ふぅ、ごちそうさまでした。
「むらかみ」特徴は、すべての料理の味に一点の「くもり」もないことである。
そして、そのくもりのなさが「すごみのあるやさしさ」となって食味に訴えかけてくるのである。
むらかみさん、ごちそうさまでした。
また行くからね。
追記
「義侠」はむらかみさんのご好意により持ち込みをさせていただきました。
ありがとうございます。
鴨つけをすすり、お勘定を済ませているとご主人が厨房から出てきて、
「いいのがあるよ♪」とニカッ、と笑う。
そーか、あるのか、ならば食わずばなるまい。
ということで、木曜日に知人を誘い「いいの♪」を食しに行く。
おなかがすいている方は、ここで読むのをやめてください。
カラダに毒です(笑)。
まずは、ブリコ、山菜のすし、ばっけ(ふきのとう)みそで「義侠」をかるく流し込み、舌を潤す。
岩魚の塩焼きなんぞも強火の遠火でしっかりと焼き、くさいアブラを落としてある。
元の大きさの3分の2になるまで、2時間くらいは焼きからしているであろう。
そして天然の山菜を使った「けの汁」、だしは焼干だという。
熱々をふぅふぅといただく。
あつくほてった舌に冷酒をぐい、と流し込む・・・うまい。
とか何とかしているうちに「いいの♪」の第一弾が来た。
天然鴨の胸肉のロースト。
そばつゆに使う「返し」をアレンジしタレで、クレソンと焼きねぎを添えて。
どれどれ・・・(←もうこの時点で世の中のことなんぞどーでもよくなっている)。
胸肉でクレソンとねぎを巻いて、パクリ。
3ミリ厚位の肉からすごい量の肉汁があふれ出す。
気が遠くなる、ううむ・・・。
さらには、そば粉を薄めのパンケーキ状に焼いたあつあつものにこれを挟み、
ネギ味噌をちょいとのせてはふはふと。
わはははははは・・・。
イカン、第一弾でこの体たらくでは第2弾に立ち向かうことができぬではないか。
気をしっかり持て、@Kurosaki!
しかし、「義侠」の純米酒(特A山田錦、精米歩合50%)も鴨のうまさに負けていない。
山田錦の香りが一つまみほんのりと漂う。
なめらかなのみ口なのだが、「りん」としたコシの強さも感じられるすばらしい酒である。
そして、第2弾。
もつの串焼き、もも肉、手羽元のロースト。
同じく「返し」のタレで。
さて・・・、
もも肉にかぶりつく。
肉に歯を立てたとたん皮がぱりりと音をたて、次の瞬間口の中が肉汁の洪水と化す。
きめ細かなアブラが溶け出し、その甘みが天然もののみが持つ「野趣」と溶け合い噛み締めるたびにすさまじいばかりのうまみがぴゅるぴゅると出てくる。
むぅ・・・・。(←気をしっかり持つのだ!!)
言葉は出ず、目は潤み、頬は上気する。
後はひたすら肉を貪り食う餓鬼と化するのである。
我にかえったときは、きれいにしゃぶりつくされた骨が、残骸となって皿に横たわっていた。
毎年ここで「鴨」を食べているのだが、今までのものとレベルが違う。
後でご主人に伺った話によると、頭を撃たれ即死状態だったとのこと。
そうか、それで合点がいった。
獣も魚も苦しんで死ぬと「血」が回って味が落ちるのである。
貴重なものをいただいた。
ふぅ、ごちそうさまでした。
・・・いや、まだ、である。
絶品のそばが、〆で待っているのである。
打ちたてのそば。
きりりと角が立ち、箸でつまんだだけでコシの強さが伝わってくる。
端っこをちょん、とつゆにつけズッとすすりこむ。
そばの香りが口の中(そう、「口の中に」である)に充満する。
かみ締めると甘みが広がり飲み込んだ後、鼻から息を出すとさらにそばの香り。
「そば」とは香りを食うものであるということを教えてくれる。
酒も飲まずに親の敵をとるかのような勢いで一気に食らう。
そして、ぐい飲みに満たされた酒をグイ、と飲み干す。
ふぅ、ごちそうさまでした。
「むらかみ」特徴は、すべての料理の味に一点の「くもり」もないことである。
そして、そのくもりのなさが「すごみのあるやさしさ」となって食味に訴えかけてくるのである。
むらかみさん、ごちそうさまでした。
また行くからね。
追記
「義侠」はむらかみさんのご好意により持ち込みをさせていただきました。
ありがとうございます。
Posted by Kurosaki at 20:29│Comments(6)
│料理、酒
この記事へのコメント
むぅ…、まいりました!(笑)
板柳「むらかみ」さんですね、インプット完了です。
板柳「むらかみ」さんですね、インプット完了です。
Posted by ogu at 2009年02月06日 22:14
>oguさん
そばの実を湿度と温度をともに管理して保存し、
石臼で挽いています。
そばつゆは江戸前の濃いめです。
そばがダレル夏場でもしっかりと香るそばを出してくれる貴重なお店です。
そばや修行の仕上げに、ぜひご堪能ください(笑)。
そばの実を湿度と温度をともに管理して保存し、
石臼で挽いています。
そばつゆは江戸前の濃いめです。
そばがダレル夏場でもしっかりと香るそばを出してくれる貴重なお店です。
そばや修行の仕上げに、ぜひご堪能ください(笑)。
Posted by Kurosaki at 2009年02月07日 09:07
目が点になっちゃいました。
昨年、kurosakiさんの記事で見てから、
是非行ってみたいお店でしたが、行けず終い。
友人が言ってたけど、水蕎麦・・・気になります。
昨年、kurosakiさんの記事で見てから、
是非行ってみたいお店でしたが、行けず終い。
友人が言ってたけど、水蕎麦・・・気になります。
Posted by dive at 2009年02月07日 10:48
>diveさん
ご堪能いただけましたでしょうか(笑)。
水蕎麦はお蕎麦の味見ということで、お蕎麦を頼むと最初に出てきます。
まぁ、おまけみたいなものですがこれがなかなかどーして。
「むらかみ」のすごさが分かる逸品です。
機会があったら、ぜひどうぞ。
ご堪能いただけましたでしょうか(笑)。
水蕎麦はお蕎麦の味見ということで、お蕎麦を頼むと最初に出てきます。
まぁ、おまけみたいなものですがこれがなかなかどーして。
「むらかみ」のすごさが分かる逸品です。
機会があったら、ぜひどうぞ。
Posted by Kurosaki at 2009年02月07日 11:47
いつもながら素晴らしいリポートで^^
鴨肉美味そうです!!!〆の蕎麦も格別なんでしょうね~まだまだ、色々知らない店、美味しい食べ物ばかりで、食いしん坊万歳には出れないようです・・・
お腹がすいてきました・・・Kurosakiさん、責任取って下さい^^
鴨肉美味そうです!!!〆の蕎麦も格別なんでしょうね~まだまだ、色々知らない店、美味しい食べ物ばかりで、食いしん坊万歳には出れないようです・・・
お腹がすいてきました・・・Kurosakiさん、責任取って下さい^^
Posted by kazuemon at 2009年02月08日 00:05
>kazuemonさん
どうだ、まいったか(笑)。
と言いつつ、自分のブログを読み返してみると確かにハラが減ります。
唾がわいてきます。
やれやれ、困ったものですね。
どうだ、まいったか(笑)。
と言いつつ、自分のブログを読み返してみると確かにハラが減ります。
唾がわいてきます。
やれやれ、困ったものですね。
Posted by Kurosaki at 2009年02月08日 12:38